HOME > 子どもの成長を見守るために

子どもの成長を見守るために

「同じ年のお友達に比べて小柄」「最近、身長の伸びが少ない」「まだ年齢が小さいからいずれ伸びるはず」など、子どもの成長・身長が気になるお母さん方も少なくないのではないでしょうか。
 多くのお子さんはその後身長が伸びるため心配はいりませんが、なかには治療の必要な病気が隠れていることや、治療可能な低身長もあります。子どもの成長を見守るためには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。

子どもの身長、低いかな?と思ったら・・・

 そもそも身長が伸びるとは、骨が伸びること。子どもにおいては骨の両端に軟骨があり、脳から分泌される成長ホルモンなどにより軟骨細胞が増え、それが硬い骨に変わることで骨が長くなり身長が伸びていきます。大人になるとこの軟骨の部分がなくなるため骨が伸びず、身長の伸びは止まります。

  <成長曲線簡易図 注意が必要なパターン>

成長曲線

 低身長の医学的な定義は-2SD以下。SDというのは、平均からどのくらい離れているかを表しています。多くの保護者の方にとってSDはイメージしづらいかもしれません。具体的にイメージしていただくのに一番わかりやすいものが「成長曲線」です(図参照)。成長曲線にお子さんの今までの身長・体重の記録を記入することで、これまでの成長の経過をみることができます。
 ここで気をつけたいことは、身長が-2SD※を下回る場合と、平均的な成長パターンと異なる場合です。(図参照)
※SDとは平均からどれくらい離れているかを表しています。-2SDの身長は100人の同性同年齢の子どもが背の順に並んだとき、前から2~3番目となります。

 子どもの成長はどのように成長してきたのかの「過程」をみることが大切です。お子さんの身長については、普段の生活でお母さん方が気付くケースもありますし、3歳児健診や園・学校の身体測定の際に、保健師さんや養護教諭の先生方が成長曲線を記入してみて気がつくケースもあるかと思います。大事なことは、子どもの成長を「成長曲線」に記入し、その過程をグラフ化することです。今までの身長の伸び方のほか、1年前の身長と比べて何cm伸びているかも見てみましょう。年齢によって異なりますが、お子さんの身長の伸びが思春期以外の年齢で1年間に4cm以下であれば注意が必要でしょう。このようなときには、かかりつけ医や小児科の先生に相談することをお勧めします。

*成長曲線はこちらでも入手可能です URL:http://jspe.umin.jp/medical/taikaku.html

なぜ身長に気をつけるのですか?

子どもの成長1

 治療の必要な病気が隠れていることがあるためです。ある時期を境に身長の伸びが鈍くなったような場合、甲状腺機能の低下や脳腫瘍などの病気も考えられます。そのほか、腎臓の病気なども考えられます。
 また、治療可能な低身長もあります。治療方法は原因によって異なりますが、低身長症のお子さんが多く受けているのが、成長ホルモンを補充する治療です。治療効果はさまざまですが、治療を早く始めることで標準身長に近づく可能性も大きくなりますので、まずは早期発見が重要です。いずれの場合も、まず成長の過程をみた上で必要があれば検査を行います。
 低身長だけでなく、身長の伸びすぎにも気をつけてください。多くはありませんが、思春期の年齢ではないのに一時的にぐんぐん身長が伸びてその後伸びが止まってしまう思春期早発症や、その他にも病気が隠れていることもあります。

子どもの成長を見守るために

 早産などで「小さく生まれたお子さんの成長が心配」、とお悩みのお母さんも少なくないと思います。
 お母さんのお腹の中で充分に発育できず小さく生まれたお子さんのほとんどは、3歳くらいまでに成長が追いつきますので心配しすぎることはありません。3歳を過ぎても成長が追いつかない場合は、SGA性低身長症という病気の可能性があります。早産児や低出生体重児の場合は3歳児健診などで身長の伸びをチェックしておくとよいでしょう。

子どもの成長2

 大切なことは、①出生時の記録を確認し②乳幼児健診等で測定した身長・体重を成長曲線に記入する。そして、③保育園・幼稚園・小学校で測定した身長・体重の数値を継続して成長曲線につけていくことです。繰り返しになりますが、その時点だけの成長を見るのではなく、どのように成長してきたか、身長の伸びはどうなのかを見てください。

 また、子どもの成長には睡眠・栄養・運動も大切。寝る子は育つというように、夜間睡眠中には成長ホルモンが多く分泌します。充分な睡眠とともに、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけるようにしてください。
 子どもの成長に関して相談したい際は、お気軽にかかりつけ医、子どもの成長に詳しい小児科医にお尋ねください。

参考URL:日本小児内分泌学会 http://jspe.umin.jp/public/index.html

ŏ㕔